ダメ人間にもなれない

PCの画面をクリックするしかできない男の日記

もう親を捨てるしかないを読んで

親の介護問題についてググっていた時に知った島田裕巳氏の本だけれども、現実の介護問題が見事にピックアップされていると思った。

 

まず島田氏は親孝行の子供ほど親を殺すと述べている。現実に起きた、介護に疲れて母親を殺害した息子の例を挙げ、背景の息子の金銭的困窮、セーフティーネットの問題、「周囲に迷惑をかけてはいけない精神」などを指摘しており、世帯分離をして生活保護を受給しやすくすることを提案している。

 

また、現代も根強く残る、「老いた親は子供が面倒を看て当たり前」という考えについても、昔の家族は大家族が多くて過程で介護できる余力があり、何よりも平均寿命も今よりも短かった。早い話、認知症等になってもそんなに長く生きられない為、今よりも負担が少ないということだ。

 

その他、海外の安楽死制度についても触れており、安楽死を認めている国では末期の病や高齢者には安楽死を認めるのに対して、この国ではとにかく生きさせることに力を入れていると指摘している。

 

そして、昔のスタイルが通用しなくなった今、介護殺人を防ぐために、親は子離れし、子供は親離れするべきだと説く。言い換えれば、親は子供が成長したらあまり干渉とかせずに突き放すような形で子供を自立させ、子供は親に甘えずに自分で稼いで自立しろということだ。

親子が離れられない理由の一つとして、親が子供が若い時に同居させてあげて衣食住不自由のない生活をさせてつなぎ留めて置き、その見返りとして介護要員に仕立て上げていると指摘している。

 

最後に、終身雇用も崩壊し、昔のような安定が望めないこの先、覚悟が必要であると説く。

 

感想として、現代の介護問題に対して護摩化さずに現実的な指摘をしていると感じた。世間の多くの場合は「子が親の介護をするのは当然だ!」と叫ぶだけに留まり、それが現実的に難しいことから目を逸らしている。

ただ、親離れ、子離れの指摘については理解はできるものの、実際に親から離れたくとも金銭面で厳しかったり、親が許さないなどといったケースがある為、「簡単に言うな!」と言いたくもなる。

個人的には、扶養義務があったとしても、子供が親をずっと介護するのは金銭面でも精神面においても不可能だと思う。なので、親不孝者!とバッシングを受けるのを覚悟で書くが、余裕があれば介護してもいいんじゃないかと思っている。これは精神論では解決できないので。

親離れについても、俺の理想としては親が自立用のアパートを借りてあげて、最初の1年間だけ家賃を払ってあげたりするとかがいいんだけどね。それがダメならシェアハウスをやってみたりとか。

 

俺は現在親と同居しているけれども、もしも介護が必要となったらあくまでもできることしかしないつもりだし、一人暮らし用のアパートを借りるだろう。そうでもしないと身が持たないし、取り返しのつかないことになりかねないから。