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SOUNDS LIKE SHITを観た ネタバレ注意

先日DVD版の「SOUNDS LIKE SHIT the story of Hi-STANDARD」を観た。2018年に公開されたパンクバンドHi-STANDARDドキュメンタリー映画で、映画館でも観たけれどもまた観たいと思っていたので先月末に注文してみた。

 

 

内容

1991年に東京で難波彰浩、横山健恒岡章が出会って結成し、1994年にファーストミニアルバム「LAST OF SUNNY DAY」を発表し、ライブを重ねて名古屋や大阪でもライブを行うようになっていく。彼らの活動は国内に留まらず、知り合いの紹介を通じて海外でもライブを行うようになっていき、次第にチケット入手も困難になる程の人気バンドになっていく。

しかし、自主レーベル設立時のストレスやメンバー間の溝が次第に大きくなっていき、人気絶頂の1999年にメンバーであり自主レーベル代表でもあった横山氏が倒れてしまう。

翌年の自主イベント「AIRJAM2000」には出演できたものの、バンドとしての活動はそのまま停止となってしまう。

その後各メンバーは独自に活動を行うことになるが、「Hi-STANDARD」としての活動再開の目途は立たないままであった。それどころか更にメンバー間の溝の深まりはエスカレートしていき、活動再開は誰もがあり得ないと思われていた。

そんな中2011年に東日本大震災が起こり、傷ついた日本に元気を与えようと「AIRJAM2011」の開催を宣言し、奇跡の復活を遂げる。その後もライブやイベントを重ねていき、新曲発表、新アルバムリリースと完全に現在進行形のバンドへと変わっていく過程を描いたドキュメンタリー映画である。

 

感想

Hi-STANDARDは俺自身がライブに行くきっかけになったバンドだけにそのドキュメンタリーは絶対に見逃せなかった。

彼らは1990年代当時としては海外に出てから国内で人気が出た「逆輸入」型であったり、できる限り自分たちで運営するDIY精神を貫いたりといった異色のバンドであった。そして海外のバンドに影響を受けつつも二番煎じに甘んじない姿勢が、当時も今も絶大な人気を誇る秘訣なのだろうと思った。

 

次にバンドの苦難に関しても深く掘り下げられていた。人気が出るとともに生まれるメンバー間の距離感や、横山氏の精神病、活動停止やそれに伴うメンバー間の対立などが赤裸々に語られる。個人的にはメンバー3人とも命の危険が危ぶまれるほど精神的に追い詰められていたのというのが衝撃であり、言葉を失った。

 

あとは東日本大震災を機に奇跡的な復活を遂げ、それだけに留まらず新曲をリリースして新しいHi-STANDARDとして進化していく過程も見事に描かれていく。特に横山氏が「活動再開当初はカラオケをやっているようで楽しくなかった」という発言が印象に残った。当時リアルに活動再開のニュースを聞いた時は救世主のように称えていたけれども、その裏側の心情を知った時はそんな簡単な話じゃないんだなと思った。

 

現在はコロナウィルス蔓延によるライブ・イベントの中止、横山氏の体調等の影響でHi-STANDARDとしての活動は不透明な状況ではあるけれども、一ファンとしては首を長くして待ちたいと思う。そして、ファンでなくても興味があれば是非とも観てほしいと思う。エンディングロールで流れる「Free」が今のご時勢に異様にマッチしてると思うし。

彼らは伝説のバンドではなくて現在進行形のバンドなのだから。

 


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