ダメ人間にもなれない

PCの画面をクリックするしかできない男の日記

ダイの大冒険78話 地獄からの生還者についての考察※ネタバレ含みます

どうもこんばんは。あまりの暑さでクーラーを始動したていのうでございます。皆様も熱中症にはご注意を。

 

久々に長文になるので、お時間のある方はお付き合いを。

 

先日amazonprimeでダイの大冒険の78話を観たのだけれども、久々にテンションが上がった。ダイの大冒険自体は毎週欠かさず観ているけれども、今回の話は個人的に首を長くして待っていたので思い入れがあったのだ。

 

大雑把に説明すると、超魔ゾンビを破られて命からがら脱出したザボエラがクロコダインに見つかり、命乞いをするフリをして危機を打破しようという展開。結果としてザボエラは命を落とすことになるけれども、今回はその辺りについての見解を書くのでそれ以外は割愛させていただく(因みにその後に復活するあのキャラがメチャクチャカッコよく描かれているのは必見です)。

 

 

 

クロコダインとザボエラの因縁

彼らは元々は魔王軍の6大軍団長で同僚であった。始めて勇者ダイとクロコダインが戦った際に、ザボエラがダイの育ての親であるブラスを人質にして戦うようクロコダインに唆した経緯がある。当初は保身のためにザボエラの言うとおりにしたクロコダインであったけれども、ダイやその仲間たちとの戦いの中で自らの行いを後悔していくようになる。

ダイ達に敗れたクロコダインはその後ダイ達の味方となり、ザボエラに対しては強い憎しみを抱くように変わっていくのだ。

 

クロコダインのファインプレイ

ロン・ベルクの星皇十字剣によって命からがら脱出したザボエラだったが、すぐにクロコダインに見つかってしまう。難敵の超魔ゾンビを倒して歓喜にあふれかえる中、クロコダインは冷静かつ迅速にザボエラの行方を追っていたのである。

これはクロコダインの判断力の高さが活かされていると思われる。かつての因縁もあるけど、この先生かしておけば必ずダイ達の脅威になるという先見の明があったからだろう。

 

クロコダインはなぜすぐにザボエラを殺さなかったのか?

結論を言えば見つけた瞬間にトドメを刺せば良かった。それができる状況であったにも関わらずなぜすぐに殺さなかったのだろうか?

一つ目は本当にザボエラが魔法力も体力も尽きた「詰み」の状態であり、クロコダインに余裕があったから。

二つ目はそんなザボエラに対して哀れみを感じたから。

そして三つ目は命の恩人でもあったから。クロコダインはダイに敗れた後に死亡しているが、ザボエラの蘇生液によって復活したのだ。勿論魔王軍での職務上でのことだが、ザボエラによって命を救われたことも事実なのだ。

 

隠れた名勝負である頭脳戦

ザボエラは魔法力も体力も尽きていたが、最後の切り札である毒の爪があった。クロコダインを上手く騙して意のままに操れば形勢逆転ができると踏んだのだ。クロコダインは自身よりも頭が悪いだろうから陥れられると。

そこで偽の謝罪と反省の弁を述べてクロコダインが救いの手を差し伸べようとしたとき、一気にクロコダインに襲い掛かろうとする!

が、クロコダインはそれを難なくかわして、グレイトアックスの柄でザボエラの両腕を押し潰す。クロコダインは警戒を怠っていなかったのだ。そして右手には螺旋丸じゃなくて、闘気を結集させてこう言う。

「……ザボエラよ 頭の悪いオレだがだまされ続けたおかげで一つ物を知った…」

「それは……!」

「この世には本当に煮ても焼いても喰えぬヤツがいる!…ということだ!!」

ザボエラは最後の本当の命乞いをするが、当然それも叶うことなく、獣王会心撃をくらって絶命する。

 

 

バダックのフォロー

ザボエラを倒したクロコダインの元にバダックが駆けつける。遂に因縁のザボエラを倒したのか、一足早く見つけるなんて流石はクロコダインだと賞賛の言葉を送るが、クロコダインは複雑な心境を打ち明ける。

 

ザボエラはかつては6大軍団長が揃った時は絶大な魔法力を持った一目置かれた存在であったこと。しかし、出世欲に目がくらんで他人の力にばかりすがるようになっていってこのようなザマになってしまったこと。自身もダイ達と戦っていなかったらザボエラと同じ末路を辿っていたかもしれなかったということだ。

 

クロコダインはザボエラを正真正銘のクズと評しながらも、哀れみを感じていた。

 

そんなクロコダインに対してバダックは、

「・・・いいやつじゃなあ おまえさんは・・ だがな こいつとおまえさんとは ちがう・・ ワシの誇るべき友人 獣王クロコダインは たとえ敵のままで あったとしても 己れを高める事に 生命を賭ける 尊敬すべき敵で あったろうと・・ ワシは思うよ・・!」

と言葉をかける。

バダックの言葉は確実にクロコダインを救ったであろう。そして、バダックの人間性の高さを伺える名シーンでもあるのだ。

 

まとめ

ザボエラの性格は最低だけど、能力はかなり優秀だと思う。結果的にロンベルクを戦闘不能にしたし、超魔ゾンビも戦闘力自体は最高ランクだろうと思われる。なので、もしもクロコダインに仕留められずに生存していたらかなりの脅威になったことが予測される。ポップのメドローア対策としてマホカンタを張ったり、その他超魔ゾンビを改良したりされたらかなりヤバかったのではなかろうか?

というよりも魔法力が尽きた時の事を考えてキメラの翼を2~3個用意しておけば良かっただろうに…

そしてザボエラが優秀な能力を持ちつつも自滅したのは、周囲の人物をあまりにもコケにし過ぎたことだと思う。そのあまりにもゲスな性格のお陰で周囲の信頼は皆無であったけれども、それでも息子のザムザは父の為に献身的に身を捧げていた。そのような貴重な人物すらも道具としか見れなかったのは愚かとしか言いようがない。

 

そして、今回の功労者であるクロコダインは自身を頭の悪い存在と自虐しつつも、見事な判断力を発揮した。実際クロコダインは脳筋系のような印象だけど、物語の初期から所々でとっさの判断に優れている描写が少なくない。そうした判断力の高さをバーンやハドラーは評価していたから百獣魔団長に任命したのではないかと思っている(その他にも忠誠心や強大なパワーと鋼鉄の肉体もあるが)。

 

クロコダインは「グワァーーー!!!」の叫び声とともにやられる場面が多くて噛ませ役として有名だけど、高い判断力とHPを駆使したサポートでダイ達を何度も救っている。今回のザボエラの件でもそうだけど本当に縁の下の力持ちというか、地味にいい仕事をやってのけているのだ。彼の隠れたファインプレイがなければ間違いなくダイ達は全滅していたであろう。

 

最後に、何でダイの大冒険の中でもこの話だけクローズアップしたのかというと、「この世には本当に煮ても焼いても喰えぬヤツがいる…」のセリフが一番好きだからだ。

悪行を重ねたザボエラを仕留めてスカっとするというのもあるけれども、現実世界でも十分通用する理屈をきれいごと抜きで表現しているという点が大きいのだ。

 

そうしたどうしようもない現実を見つつも、相手に対しての哀れみを忘れないクロコダインと、それをフォローするバダックが不思議と和ませてくれる。

 

長文失礼しました。