ダメ人間にもなれない

PCの画面をクリックするしかできない男の日記

外道の中の外道 長屋龍河

今回は六本木クラスに登場した長屋ホールディングス会長の息子の長屋龍河である。主人公の宮部新の因縁の相手にして、ドラマでも類を見ない悪役の一人である。

 

救いようのないバカ息子

第一話から同級生の桐野をパシリのように扱い、屈辱的ないじめを行う。それを見かねた新からブン殴られて、新は退学になるけれども龍河は何のお咎めなし。

それだけに留まらず、今度は新の父親をひき逃げで死に追いやるという取り返しのつかない過ちを犯してしまい、それでも法的な裁きを受けないという理不尽ぶり(これに関しては父の長屋茂会長が身代わりを立てた為)。

その後も独立した新に嫌味や嫌がらせを繰り返して、視聴者たちからは怒りを通り越した憤りを感じさせたことは間違いないだろう(〇してやりたいと思った者も少なくなかろう)。

 

苦労知らずからの転落

しかしそんな彼にも転機が訪れる。新のマネージャーである葵にひき逃げ事件の真相を話してしまいそれを録音されてしまうのだ。葵はこれをきっかけに龍河の逮捕と長屋会長の辞任に追い込もうと画策していたのだ。結果的に長屋会長の非情な決断によって会長の辞任は失敗に終わるけれども、龍河は逮捕される。

逮捕されてからは保有していた株を没収され、社会的にもどん底に落ちてしまう。

ドラマの終盤では出所するものの、新へ強烈な逆恨みを抱いた怪物になり果てるのだ。

 

歪んだ家族愛

龍河は長屋会長からは散々甘やかされながらも最終的には「裏切られて」捨てられた。

それにも関わらず龍河はドラマを通して長屋会長に対して反抗した素振りは見せていない。それどころか出所後に自らを切り捨てた長屋会長の見舞いにも訪れるくらいだ。

ここまでの仕打ちをされたら新だけでなく長屋会長自身にも復讐したいと思ってもおかしくないはずなのに。

龍河は極悪非道であると同時に愛に飢えており、常に長屋会長からの承認と愛を求めていた人物でもあったのだ。

 

まとめ

こいつは正真正銘の外道であるが、物語の序盤と終盤では全く雰囲気が違う。簡単に言えば最初は軽率なヘタレ外道であるが、終盤の出所後は覚悟を決めたガチ外道に変わったと言えば良いか。

個人的には刑務所の中で腕立て伏せをするシーンが印象的だ。極悪人の癖にこのまま終わってなるものかという気迫を感じさせる演技は一見の価値ありだ。

物足りなかったのが韓国版の梨泰院クラスだと最後に弟を助けるシーンがあったけど、六本木クラスだとそれがカットされていた点だ。極悪人でも家族に対しては一定の情を見せるところはもう少し強調されても良かったと思う。

 

外道でありながらもどこか魅力的な部分を垣間見せた存在であったし、それを終始演じ切った早乙女太一氏にも大きな拍手を送りたい。