ダメ人間にもなれない

PCの画面をクリックするしかできない男の日記

抑死者1巻を読んだ ネタバレ注意

今回の感想はちょっと過激な内容も含まれてしまうので、ご注意を。

前々から気になっていた漫画があって、最近ついにポチってしまった。

それがあららぎ菜名さんの「抑死者」である。

ストーリー

自殺者が増加した日本で、自殺を禁ずる法案「抑死法」が制定される。抑死法が施行された日本では、自殺者を強制的に阻止する「抑死者」が存在し、日夜自殺者を「取り締まる」…

 

抑死法が施行された日本

正式名称は「自死行為抑死法」。個人の自殺を国が禁止する法律が施行され、年間で何万人もの命が救われたという。自殺志願者は「死願者」と呼ばれ、それを強制的に止める者たちを抑死者と呼ばれる。

何万人もの命が救われたというが、本当にそれで全て解決になったのかという疑問は残るが。


抑死者の存在

この漫画には抑死者が何人か出てくるが、その中でも主人公の「貌無」は自殺志願者を察知する能力(ONEPIESの見聞色の覇気みたいなもの)を持っており、自殺志願者を見つけては暴力的に止めにかかってくる。

線路内で自殺しそうな人間を轢かれる寸前で助け出したり(蹴り飛ばしているが)、ボクシングの心得があるチンピラをのしてしまったりと身体能力も高く、かなり粗暴な人物だ。
そんな彼ではあるが、回想シーンで姉を自殺で亡くした場面があり、それが彼を抑死者に駆り立てたのではと思わされる。あと、基本的にぶっきらぼうで喧嘩っ早い性格ではあるけれども、前向きに生きる意志を示した者には遠回しではあるがサポートをしたりといった憎めない一面も併せ持つ。

 

感想

一言で申せば、「抑死法」なんて許せない!である。理由は自殺を禁止して減らすことだけに着目して、その原因とかにはノータッチだからだ。

基本的に自殺を強制的に止めて、「初犯」だったら口頭注意、二回目からは「罰金」という風に自殺志願者に罰を与えるだけ。特に番外編に出てきたデブオタ風の「死願者」に対して「命を大事に」とだけ吐き捨てられる場面は見ていて可哀そうというよりは強い憤りを覚えた。

本編に出てきた2人の「死願者」に対してはある程度助け舟を出したりアフターケアをしていたけれども、基本的に止めるだけ。リアルでそれをやっていたら自殺自体は確実に減らせるだろうけども、自殺問題の根本に介入しなければ犯罪が増えたりといった別の問題が酷くなるだけだろう。

あと、主人公の自殺志願者を察知する能力についてだけれども、ある意味心の中を読まれるのと等しいので、ネット監視社会よりも恐ろしいと思った。本当にそんな能力があるのならば紛争地帯とかに行って自爆テロを止めに行ってくれよと言いたい。

抑死法に対しては断固反対の立場だけれども、作品としては着眼点も面白く、自殺関連とかそういう分野に関心のある人達には一読する価値はあると思う。

残念ながら単行本は1巻しか発行されておらず、続きはLINEマンガでないと読めなくなっている。

個人的には課金する価値があると思っているので是非とも続きを読もうと思う。