ダメ人間にもなれない

PCの画面をクリックするしかできない男の日記

映画「JOKER」を観てきた ネタバレ注意 

遅ればせながら、昨日映画館にて「JOKER」を観てきた。

 

タイトルには書いたけど、ネタバレが大いに含むので自己責任で。

 

 

あらすじ

ゴッサムシティで暮らす売れない中年コメデイアンのアーサー・フレックは、「笑うのが止まらない」という障害を抱えながらも年老いた母の面倒を看ながら暮らす優しい中年男性。

そんな彼が閉店する靴屋の看板を持ってパフォーマンスをする仕事をしていた時に不良グループに看板を奪い取られてしまい、それを追いかけるが看板を壊された挙句に暴行まで受けてしまう。それを見かねた同僚のランドルから拳銃を渡されて自分の身を守るように諭される。その後、職場のボスから呼び出しを受けたアーサーは看板を返さなければ給料から差し引くと言われ、あまりの不条理さに怒りをぶちまける。

それでもコメディアンとして成功したい夢を捨てきれないアーサーは、コメディショーに通ってはジョークの勉強を欠かさずにいた。

しかし、ある日病院でピエロのパフォーマンス中にランドルから渡された拳銃を落としてしまい、それが原因で職場を解雇されてしまう。

悲痛な思いで帰宅する際に、電車内で若い3人の証券マンに絡まれてまたしても暴行を受けてしまう。そこでアーサーは持っていた拳銃で3人を射殺し、一気に歯車が狂い始める…

 

残酷な仕打ちと真実の連続

とにかく最初から暴力を受けたり、理不尽な賠償を請求されたりと踏んだり蹴ったりでは済まされない仕打ちを受けるシーンが連続し、観るに堪えない。そこに加えて、エリート証券マン達からのあり得ないくらいの言いがかりと暴力(リアルであんなことやったら普通に解雇&逮捕だよ)。それで相手を射殺してしまうアーサーを無罪になんてできない(最後は執拗に追いかけて射殺した)けど、「やっちまえ!!」と密かに思ってしまったのも事実だ。

更に尊敬するコメディアンのマーレーにアーサーのジョークの動画を侮辱して笑いのネタにされてしまう。まだ相手にしないだけならまだしも、ああいう風にさらし者にして笑いを取るというのは趣味が悪いを通り越している。

そしてアーサーを「覚醒」させる決定打になったのが、最愛の母が実の母親でなくて、養子であったこと。そして、母の恋人だった男からの虐待が原因(しかも母は黙認していた)でアーサーに障害が残ってしまったこと。最早彼の心にブレーキは完全に失われた。

 

恋に落ちるも実は妄想

物語の途中で黒人のシングルマザーのソフィーといい関係になるのだけれども、話が進んでいくと実はアーサーの妄想であることがわかるという衝撃。そしてその後のソフィーがどうなったのかが不明になっているのだ。そのシーンをバックにサイレンの音が鳴り響いていることから察すると、個人的には最悪の展開を予想してしまう。

 

狂気の演出

アーサーは数々の殺人を重ねていくのだが、その後のシーンが明るいテンポの音楽が流れたり、踊りだしたりと、観ているこちらの頭がおかしくなるような演出が多い。

最後に憎きマーレーを射殺して逮捕及び護送されるシーンがあるけれども、アーサーに影響を受けた暴徒(貧困層)が街を破壊したり略奪したりする中にも関わらず暗い音楽が流れない。むしろポップである意味での「ハッピーエンディング」なのでは?と思わせるようなカオスっぷり。

凶悪犯で同情などできないが、謎の爽快感が伝わるのだ。

 

感想

twitter上でJOKERの評価が高かったので珍しく劇場で観てみたけど、衝撃的であったと同時に多くの謎や疑問が残った。勿論冒頭の社会弱者が虐げられて、それが原因で狂気に走っていくというストーリーには共感を得てしまったけども、上記に書いたソフィーのその後とか、ラストシーンの精神科病院での立ち去るシーン、どこまでがアーサーの妄想なのか真実なのかがわからないなど観客の想像に委ねられる部分が多くて、正直俺には難解だった。

あと、見終えた後に気づいたのだけれども、JOKERというのはバットマンシリーズに出てくる悪役であることを知らなかったのだ。つまるところJOKERの誕生秘話としてではなく、「アーサー・フレック」の変貌記(覚醒記)として観ていたのだ。それはそれで見応えはあったが、機会があればバットマンシリーズも観てみたいものだ。

個人的に一番印象に残ったのが、銃を渡してその後に裏切ったランドルを殺した後に、一緒にいたゲイリーという小柄の男を見逃したシーンだ。「君だけは優しかった」と。

ガチのサイコパスに覚醒したアーサーに残る唯一の良心が切ない。

 

レンタルが開始されたらまた観てみたい。そしたらまた違った視点で観ることができるかもしれないから。